緑ナンバーの許可が5年ごとの更新制に? 貨物運送業の許可制度がどう変わるのか

この記事のポイント
  • 一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)の許可に、5年ごとの更新制度が導入されます。
  • 施行日はまだ決まっておらず、更新審査の具体的な基準も今後明らかになる予定です。
  • この記事では、現時点で確定している制度変更と、まだ決まっていない事項を整理します。

「一般貨物自動車運送事業の許可を一度取得すれば、基本的にその許可は期限なく続く」

これまでのトラック運送業では、これが大きな前提の一つでした。

ところが、この仕組みが変わります。

2025年6月、「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和7年法律第60号)が成立・公布され、トラック運送事業の許可に5年ごとの更新制度が導入されることになりました。

つまり、これからは「許可を取ること」だけではなく、許可を取得した後も、法令を守りながら適正に事業を続けていくことが、これまで以上に重要になる制度へ変わっていきます。

目次

1.これまでの許可制度と何が変わるのか

これまでの一般貨物自動車運送事業の許可は、一度取得すれば、許可そのものに5年などの有効期限が設定されている制度ではありませんでした。

今回の改正では、貨物自動車運送事業の許可について、

「5年ごとに更新を受けなければ、その効力を失う」

という更新制度が設けられました。

これは、トラック運送事業者にとってかなり大きな制度変更です。

2.いつから始まるの?

ここは注意が必要です。

法律は2025年6月11日に公布されていますが、更新制度については、公布の日から3年を超えない範囲内で政令で定める日から施行することとされています。

そのため、2026年9月現在、具体的な施行日はまだ確定していません。

国土交通省も、更新制度などについて「3年以内に施行予定」と案内しています。

したがって、現時点では、

「○年○月から更新申請が始まる」

と断定する段階ではありません。

今後、政令などによって具体的な施行日や制度の詳細が明らかになっていくことになります。

3.では、更新のときに何を見られるの?

ここは、現時点では慎重に考える必要があります。

「更新審査では財務状況を確認する」 「労働時間を審査する」 「行政処分歴を厳しく見る」

といった説明を見かけることがあります。

しかし、2026年9月現在、更新審査について具体的にどの項目を、どの基準で審査するのかという詳細な基準まで確定しているわけではありません。

一方で、今回の改正によって、法令遵守が許可の基準として明確になっています。改正法では、許可基準に

「法令の規定を遵守してその事業を遂行することが見込まれること」

が追加されています(改正後の第6条第3号の2)。

つまり、更新制度は単に「5年ごとに書類を提出すれば許可が延長される」という制度ではありません。

4.今すぐ何か準備を始める必要はある?

2026年9月現在、具体的な更新審査基準や施行日が確定していない以上、

「5年後の更新のために、今すぐ特別な書類を作っておきましょう」

という段階ではありません。

ただし、事業者として意識しておきたいことがあります。

それは、

日々の運行管理や安全管理などを、その場しのぎで終わらせないことです。

将来的にどのような更新審査になるのかは、これから具体化されていきます。

だからこそ、今の段階では「何を審査されるか」を決めつけるよりも、

普段から適正な事業運営を続け、その記録をきちんと残しておく。

という考え方が重要になるでしょう。

日々の運行管理や安全管理について、巡回指導でどのような点が確認されるのかは、巡回指導・監査対策サポートのページでも紹介しています。

5.これからどう変わっていくのか

今回の改正は、許可更新制度だけの話ではありません。

「適正原価」を下回らないことを確保する仕組みや、再委託の回数を2回以内に制限する努力義務、違法な「白トラ」の利用に関する規制など、トラック運送業界の取引や事業運営そのものに関わる改正が行われています。

そのうち一部はすでに2026年4月1日から施行されています。

一方、許可更新制度や「適正原価」に関する仕組みなど、今後の施行に向けて具体化されていく制度もあります。

つまり、トラック運送業の「許可を取った後」の世界が、少しずつ変わり始めています。

今は「更新対策」より「適正な事業運営」

現時点では、まだ更新審査の詳細を語れる段階ではありません。

だからこそ、今は、

「5年後の更新に備えて何をすればいい?」

と慌てるより、

「普段から適正な運送事業を続けているか」

を意識する時期なのだと思います。

今後、施行日や更新審査の具体的な基準、既存事業者に対する経過措置などが明らかになれば、改めて詳しく解説します。

制度が変わってから慌てるのではなく、まずは「こういう大きな変更が予定されている」と知っておく。

それだけでも、これからのトラック運送事業を考えるうえで意味があります。

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この記事を書いた人

あさば行政書士事務所(神奈川県横須賀市)代表、行政書士の浅葉竜一です。
自動車部品の物流・倉庫会社で20年以上勤務し、運行管理者・出荷管理者として運送の現場に携わってきました。
その経験を活かし、一般貨物自動車運送事業の許可申請、増車・車庫などの変更手続き、巡回指導対策、黒ナンバー・貨物利用運送など、運送業の手続きを中心にサポートしています。
自動車登録・車庫証明、相続・遺言のご相談も承ります。

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