①「今までディーラーに任せていたのに?」トラックの登録手続き、2026年から何が変わった?

トラックディーラー向け実務コラム|全4回
  1. トラックの登録手続きはどう変わった?(本記事)
  2. トラック増車は届出か認可か?
  3. 増車で見落としやすい車庫の落とし穴
  4. 納車日から逆算する、手続きの順番
このコラムで分かること
  • ディーラーが登録や車庫証明の書類作成を断るようになった理由
  • 2026年1月の行政書士法改正で、何が明確になったのか
  • 運送会社が取れる2つの選択肢(自分で申請する/行政書士に依頼する)

新しいトラックを購入することになった。

これまでと同じように、登録や車庫証明の手続きはディーラーにお任せしておけばいい。そう思っていたところ、担当者からこう言われることが増えています。

「登録申請書や車庫証明の書類は、お客様側でご用意いただくか、行政書士にご依頼ください」

「今までは何も言われずにやってくれていたのに、急にどうしたのだろう」と感じた方もいるかもしれません。今回はこの変化の中身と、その背景にある2026年1月の法改正について整理します。

目次

変わったのは「誰が、どこまで手続きをするのか」という境界線

先に結論から言うと、ディーラーが不親切になったという話ではありません。

自動車の登録申請書は原則として所有者自身が、車庫証明申請書は保有者自身が作成するか、行政書士に依頼して作成するのが基本です。国土交通省が公表している「行政書士法違反となる事例等」でも、自動車販売会社が販売にあわせて登録申請書などを作成する行為が取り上げられています。

ディーラーによる書類作成の代行は、長年の商慣行として続いてきた部分だった、というのが実態です。

2026年1月の行政書士法改正で、何が明確になったのか

2026年1月1日、行政書士法の一部を改正する法律が施行されました。ポイントは次の2つです。

① 報酬の「名目」
改正前
報酬を得て他人の書類を作ることは、もともと制限されていた。ただし「登録代行手数料」などの名目なら許されると誤解される余地があった
改正後
第19条第1項に「いかなる名目によるかを問わず」報酬を得て、という文言が加わり、名目に関係なく規制の対象であることが条文上はっきりした
② 罰則の対象
改正前
第19条第1項の違反には、もともと罰則がある(対象は違反した本人)
改正後
違反が法人の業務として行われた場合、本人だけでなく法人も罰金刑の対象になる「両罰規定」が整備された

新しい禁止事項が生まれたというより、誤解や抜け道が生じないよう、条文上はっきりと線引きされた、という性格の改正です。会社として責任を問われる形になったことで、ディーラー各社が対応を見直しているのは自然な流れといえます。

現場では、実際にこう変わっている

制度の話だけでは実感が湧きにくいと思うので、ディーラー側が公表している対応を紹介します。宮城三菱自動車販売は、自社サイトで次のように案内しています。

「お客様に代わって自動車登録申請書、車庫証明申請書や委任状、譲渡証明書などの自動車の登録等に伴う関連書類作成・提出代行を行う事は出来ません」

出典:宮城三菱自動車販売 公式サイト(2026年10月時点の案内)

そのうえで、対応方法を「書類作成・申請を行政書士に正式に委任する」か「お客様自身が書類を作成・提出する」かの2つに整理しています。今後、同じような案内を目にする場面は増えると考えられます。

「連絡書」も考え方は同じ

増車や車両の入れ替えで必要になる「事業用自動車等連絡書」についても、「運送会社側で用意してほしい」とディーラーから求められるケースが増えている、という声を耳にします。

連絡書も、運送会社が記入して運輸支局に提出し、確認を受ける書類です。行政書士でない者が、他人の依頼を受けて報酬を得て作成すれば、登録申請書と同じ線引きの対象になり得ます。

ポイント

先ほどの販売会社の案内は、連絡書を具体的に挙げてはいません。それでも、登録や車庫証明と同じ流れで、連絡書も運送会社側か行政書士が用意する場面が出てきているのは、こうした背景があるためです。

3者の役割分担はこう変わった

ディーラー
お客様の依頼を受けて、報酬を得て登録申請書などの書類を作成することはできない。提出の手伝いなど、どこまで関わるかは各社の方針による
運送会社
本人申請として自分で書類を作るか、行政書士に依頼するかを選ぶ
行政書士
これまでディーラーが担ってきた書類の作成を、正式に受け持つ
緑ナンバーのトラックと車庫証明

緑ナンバー(事業用)のトラックは警察の車庫証明の対象外で、運輸支局で事業計画上の車庫として確認を受けます。車庫証明が関係するのは、白ナンバーのトラックなどの場合です。

ディーラーが「やってくれなくなった」のではなく、もともと行政書士法上の制限があった業務について線引きがより明確になり、3者の役割分担が変わった、というのが正確な見方です。

運送会社が自分で手続きをするときに、次に確認すること

では、運送会社側で増車の手続きをするとして、次に確認しなければならないのは何でしょうか。

実は、ここにも見落としやすい分岐があります。「増車だから届出」と思って手続きを始めてしまうと、実は認可が必要だった――というケースです。

次回は、トラックの増車で「届出」と「認可」が分かれるポイントを、具体的な数字を交えて整理します。

書類の作成は、行政書士にお任せください
運送会社の方

物流の現場で20年以上、運行管理・出荷管理に携わってきた行政書士が担当します。登録の書類から、増車に伴う事業計画変更の手続きまでご相談いただけます。

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この記事を書いた人

あさば行政書士事務所(神奈川県横須賀市)代表、行政書士の浅葉竜一です。
自動車部品の物流・倉庫会社で20年以上勤務し、運行管理者・出荷管理者として運送の現場に携わってきました。
その経験を活かし、一般貨物自動車運送事業の許可申請、増車・車庫などの変更手続き、巡回指導対策、黒ナンバー・貨物利用運送など、運送業の手続きを中心にサポートしています。
自動車登録・車庫証明、相続・遺言のご相談も承ります。

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