③「トラックを増車したのに車庫に入らない?」増車で見落としやすい車庫の落とし穴

トラックディーラー向け実務コラム|全3回+番外編
  1. トラックの登録手続きはどう変わった?
  2. トラック増車は届出か認可か?
  3. 増車で見落としやすい車庫の落とし穴(本記事)
  4. 番外編:納車日から逆算する、手続きの順番
このコラムで分かること
  • 増車の手続きが通っても、車庫で止まってしまう3つの落とし穴
  • 車庫を新設・拡張・移転するときに、先に必要になる手続き
  • トラックを発注する前に確認しておきたい、車庫のチェックポイント

新しいトラックを増車することになった。

前回、前々回で見てきたとおり、届出で足りるかどうかも確認した。営業所の巡回指導の評価も問題ない。車両の発注も済んだ。

ところが、最後になってこんな問題が出てきます。

「その車両、どこに置きますか?」

増車の手続きは、届出や認可が通れば終わりではありません。車両を実際に収容できる車庫が確保できているかどうかは、まったく別の確認事項として残っています。今回は、増車の場面で見落とされやすい車庫の3つの落とし穴を整理します。

目次

落とし穴①:「面積が足りている」=「車両が入る」ではない

増車の届出では、車庫の収容能力を広げる必要がある場合、その変更の手続きを先に終えていることが条件とされています。増車と車庫の収容能力は、手続きのうえでも直接つながっています。

ここで見落とされやすいのが、「土地の面積さえ足りていれば大丈夫」という思い込みです。

関東運輸局の基準では、車両と車庫の境界、そして車両どうしの間隔を50センチメートル以上確保したうえで、計画するすべての車両を収容できることが求められています。

単純な面積の計算だけでは、この間隔まで考慮できているとは限りません。車両の大きさや向き、駐車の配置によっては、「計算上は面積が足りているはずなのに、配置図を描いてみると全車両を収容できない」ということが起こり得ます。増車を検討する際は、面積の数字だけでなく、実際の車両配置まで一度落とし込んで確認しておく必要があります。

車庫は「区画」も確認される

車庫は、他の用途に使われる部分と明確に区画されている必要があり、事業用自動車を適切に収容できることを写真で確認されます。資材置き場や荷主の作業スペースと境目があいまいな土地は、注意が必要です。

事業計画上の車庫を新設・拡張・移転するなら、その認可が先

車庫の新設や、位置・収容能力の変更は、原則として事業計画変更の認可の対象です。増車の届出だけで済むケースでも、車庫の変更が必要なら、その認可を先に受けておかなければなりません。すでに認められている同じ車庫の賃貸借契約を更新するだけなど、位置や収容能力が変わらない場合は別です。

認可には審査の期間がかかるため、車庫が足りないと分かった時点で、納車のスケジュールに直接影響します。

落とし穴②:「近くの土地」なら車庫にできるとは限らない

車庫は、原則として営業所に併設することが求められています。併設できない場合は、営業所と車庫の距離について定められた基準に適合しなければなりません。関東運輸局管内の基準は次のとおりです。

営業所が東京都特別区・横浜市・川崎市
20km以内
それ以外の地域(横須賀市・三浦市なども含む)
10km以内

これは車庫と営業所の距離についての基準で、休憩・睡眠施設との距離に関する基準とは別のものです。両者を混同すると判断を誤るおそれがあるため、注意が必要です。

また、距離の基準を満たしていても、それだけでは足りません。車庫の前面道路が車両制限令に適合しているか、事業用自動車が支障なく出入りできるかも、あわせて確認すべき項目です。「増車のために新しく土地を借りたが、距離は問題なくても、前面道路の幅員が足りず車両が出入りできない」というケースも起こり得ます。

落とし穴③:「借りた土地」を車庫として証明できるか

面積も足り、位置の基準も満たしている。それでも、その土地を車庫として使う権利を、書類で証明できなければ手続きは進みません。

自己所有の土地
登記簿謄本などで、使用権原を確認します。
借りている土地
契約期間が概ね2年以上の賃貸借契約書などが必要です。2年に満たない契約は、期間満了時に自動的に更新される場合に限り認められます。

増車のために新たに車庫用地を確保する場合、「短期の契約でとりあえず押さえておこう」という進め方をしてしまうと、この使用権原の要件を満たせない可能性があります。

トラックを発注する前に、車庫で確認しておくこと

ここまでの3つの落とし穴を、発注前のチェックリストにまとめます。

収容能力
50cmの間隔を取った配置図で、増車後の全車両が入るか。足りなければ、車庫の変更(認可)が先に必要
位置と前面道路
営業所からの距離が基準内か。前面道路が車両制限令に適合し、車両が出入りできるか
使用権原
登記簿謄本、または概ね2年以上(自動更新を含む)の賃貸借契約書があるか

「誰が手続きをするのか」「届出でいいのか、認可なのか」をクリアしても、最後に車庫の問題で、事業用自動車としての登録・ナンバーの交付まで進めないことがあります。

「増車できるかどうか」は、車両の台数だけでは決まりません。手続きの担い手、届出と認可の区分、そして車庫の状態。この3つを、できるだけ早い段階で確認しておくことが、納車のスケジュールを崩さないための鍵になります。

番外編では、納車日から逆算して、これらの手続きをどの順番で進めればよいかを整理します。

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この記事を書いた人

あさば行政書士事務所(神奈川県横須賀市)代表、行政書士の浅葉竜一です。
自動車部品の物流・倉庫会社で20年以上勤務し、運行管理者・出荷管理者として運送の現場に携わってきました。
その経験を活かし、一般貨物自動車運送事業の許可申請、増車・車庫などの変更手続き、巡回指導対策、黒ナンバー・貨物利用運送など、運送業の手続きを中心にサポートしています。
自動車登録・車庫証明、相続・遺言のご相談も承ります。

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