車庫飛ばしとは?トラック運送業で問題になる「認可車庫と実態のズレ」と6つの車庫要件・罰則

【この記事の要点】
・車庫飛ばしとは、実際に車を置いている場所とは違う場所を、車庫(保管場所)として届け出ることです
・緑ナンバーのトラック(運送事業用の自動車)は警察の車庫証明の対象外で、運輸局に認められた事業計画上の車庫と、実際に車を置いている場所のズレが問題になります
・緑ナンバーの車庫には、営業所との位置関係や車両間隔50cmなど、6つの要件があります
・運送事業としては行政処分の対象になるおそれがあり、道路を車庫代わりに使うことは緑ナンバーでも禁止されています

車庫飛ばしとは

車庫飛ばしとは、実際に車を置いている場所とは違う場所を、車庫(保管場所)として届け出ることです。一般的には、警察に申請する車庫証明(自動車保管場所証明)を、実態と違う場所で取得することを指します。

トラック運送業では、運輸局に認められた車庫との整合性が問われる

緑ナンバーのトラックは、警察の車庫証明の対象外です。法律上は、ナンバーの色ではなく「自動車運送事業に使う自動車」であることが理由で、車庫法第13条により車庫証明に関する規定が適用されず、保管場所の確保は貨物自動車運送事業法などのルールで管理されます。

具体的には、運送事業の許可を受けるときに、どこに車庫を置き、何台収容できるかを事業計画として運輸局に出し、認められています。登録のときも、車庫証明ではなく事業用自動車等連絡書を使います。

車庫の位置や収容能力を変えるときは、事業計画の変更認可を受けなければなりません。つまり緑ナンバーの「車庫飛ばし」は、警察の車庫証明の問題ではなく、運輸局に認められた車庫と、実際に車を置いている場所のズレの問題です。

なお、運送業の許可を受ける前のトラックや、白ナンバーのトラックは、通常どおり警察の車庫証明が必要です。

現場の「当たり前」が、知らないうちにズレを生む

運送業界において、「車庫飛ばし」という言葉は決して馴染みのないものではありません。多忙な日々の業務の中で、拠点の移動に伴う手続きが後回しになったり、一時的な保管場所の確保が慣習化してしまったり。悪意はなくとも、結果的に「認可・届出上の情報」と「実際の保管場所」が乖離してしまっているケースは、意外にも身近なところに潜んでいます。

緑ナンバーの車庫に求められる6つの要件

関東運輸局の審査基準では、車庫について次の6つが求められています。

  • 営業所との位置関係:原則として営業所に併設すること。併設できない場合は、運輸省告示第340号に適合すること
  • 収容能力と50cmの間隔:車両と車庫の境界、車両同士の間隔が50cm以上確保され、計画するすべての事業用自動車を収容できること
  • 明確な区画:他の用途に使う部分と明確に区画されていること
  • 使用権原の証明:車庫を使う権利があることの裏付けがあること
  • 関係法令の遵守:農地法、都市計画法などに抵触しないこと
  • 前面道路:車庫への出入りに支障がなく、前面道路との関係で車両制限令に抵触しないこと。前面道路が私道の場合は、その私道の通行について権利を持つ人の承認があり、さらに私道につながる公道との関係でも車両制限令に抵触しないこと

増車で台数が増える場合も注意が必要です。増車にあわせて車庫の収容能力を広げる必要があるときは、先にその変更手続きを終えていなければなりません。

罰則と処分

罰則と処分は、次の3つに分けて考える必要があります。

① 認められた車庫と実態のズレ(緑ナンバー)
車庫の要件を満たさないまま、または変更の認可を受けずに別の場所で車両を保管・運用していた場合は、貨物自動車運送事業法に基づく行政処分(車両の使用停止など)の対象になるおそれがあります。また車庫法では、運送事業用の自動車が保管場所を確保していないおそれがあるとき、警察(公安委員会)が運輸局に通知する仕組みがあります。

② 車庫証明の虚偽・無届(白ナンバーや許可前の車両)
・虚偽の書面で車庫証明を受けた場合:20万円以下の罰金
・保管場所を変えたのに届出をしない、または虚偽の届出をした場合:10万円以下の罰金

③ 道路を車庫代わりに使うこと(緑ナンバーも含めてすべての車)
・3か月以下の拘禁刑または20万円以下の罰金
この禁止は、緑ナンバーのトラックにも適用されます。

罰金も刑罰の一つです。

実務の視点から、安心の体制を共に整える

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よくある質問

Q. 車庫飛ばしとは何ですか?
A. 実際に車を置いている場所とは違う場所を、車庫(保管場所)として届け出ることです。

Q. トラックの車庫を別の場所に移すときは、どんな手続きが必要ですか?
A. 車庫の位置や収容能力の変更は、運輸局の事業計画変更の認可が必要です。緑ナンバーの車両については、警察の車庫証明は必要ありません。

Q. 緑ナンバーの車庫は、どのくらいの広さが必要ですか?
A. 車両と車庫の境界、車両同士の間隔をそれぞれ50cm以上確保したうえで、計画するすべての車両が収まる広さが必要です。

Q. 車庫飛ばしをすると、どんな罰則がありますか?
A. 緑ナンバーの場合は、認められた車庫と実態がずれていると、運送事業として行政処分の対象になるおそれがあります。白ナンバーで虚偽の書面により車庫証明を受けた場合は、車庫法により20万円以下の罰金です。また、道路を車庫代わりに使うことは、緑ナンバーも含めて禁止されています。

【出典】
関東運輸局公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」(令和7年8月1日一部改正)
関東運輸局公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の事業計画変更等に関する処理方針について」(令和7年8月1日一部改正)
貨物自動車運送事業法 第9条
自動車の保管場所の確保等に関する法律 第11条・第13条・第17条

【更新履歴】
2026年10月:緑ナンバーのトラック(運送事業用の自動車)について、警察の車庫証明と運輸局の認可の両方が必要であるかのように読める記載がありました。車庫法第13条に基づき該当箇所を修正し、あわせて罰則の説明を見直しました。また、道路を保管場所として使用することの禁止は、緑ナンバーの車両にも適用されることを追記しました。出典の処理方針の改正日を最新のものに更新しました。

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この記事を書いた人

あさば行政書士事務所(神奈川県横須賀市)代表、行政書士の浅葉竜一です。
自動車部品の物流・倉庫会社で20年以上勤務し、運行管理者・出荷管理者として運送の現場に携わってきました。
その経験を活かし、一般貨物自動車運送事業の許可申請、増車・車庫などの変更手続き、巡回指導対策、黒ナンバー・貨物利用運送など、運送業の手続きを中心にサポートしています。
自動車登録・車庫証明、相続・遺言のご相談も承ります。

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