- 「酔いにくい」という自覚だけでは、アルコールが抜けたと判断できない理由
- 点呼では、道路交通法の基準値未満でも酒気帯びと扱われること
- ベテランほど見落としやすい、翌朝の残り酒への備え方
運送業界では、点呼でのアルコール検知器による確認がすっかり定着しました。しかし、「前夜に飲んだお酒が、翌朝の点呼までに本当に抜けているか」は、最終的にドライバー自身の感覚や経験に頼っている部分が残っているのが実情ではないでしょうか。
特に注意したいのが、「自分は酒に強いから、翌朝は大丈夫」という感覚です。
「酔いにくい」だけでは、抜けたとは判断できない
飲み慣れると、酔いにくくなることがあります。脳がアルコールに慣れる場合もあれば、体の分解が速くなる場合もあります。一方で、顔が赤くなりにくいのに、分解が遅く、翌朝まで残りやすい体質の人もいます。
つまり、「酒に強い」という自覚があっても、翌朝アルコールが抜けているかどうかは、その自覚だけでは判断できないということです。
純アルコール約20g(ビール中瓶1本、日本酒1合程度)を分解するだけでも、一般に数時間かかるとされています。深夜まで飲めば、すっきり目が覚めたつもりの翌朝にも、アルコールが残っていることは十分にあり得ます。
ここで見落とされやすいのが、年齢の影響です。加齢に伴う肝機能や体内の水分量の変化によって、若いころと同じ量でも、アルコールの影響を受けやすくなることがあります。「若いころから翌朝に残ったことはない」という経験が、今の自分の体にも当てはまるとは限りません。経験の長いベテランほど、この感覚のずれに気づきにくいとも言えます。
点呼では「基準値未満」でも乗務できない
点呼では、道路交通法の0.15mg/L(呼気1リットルあたり)という基準値未満でも、酒気帯びが確認されれば乗務させることはできません。ただし、飲食物などによって検知器が反応することもあるため、必要に応じて再測定し、目視等の確認と合わせて適切に判断します。
警察の取締りの基準と、点呼での確認の考え方は違います。「捕まらない程度なら問題ない」という考え方は、点呼では通用しません。
つまり、翌朝の残り酒は、本人の問題であると同時に、その日の配車や運行計画に直接響く問題です。
「飲むな」より「知ってもらう」
経験豊富なドライバーに「とにかく飲むな」「控えてくれ」と頭ごなしに伝えても、なかなか納得してもらえません。大切なのは、本人が自分の体について客観的な知識を持てるようにすることです。
ただし、どの方法も「何時間で必ず抜ける」と保証するものではありません。計算やテストはあくまで目安であり、アルコールが抜けたかどうかの判定に使うものではありません。点呼時には、アルコール検知器と目視等を用いて、酒気帯びの有無を適切に確認します。
感覚の「大丈夫」を、数字と知識に置き換えていくこと。それが、現場の反発を招かずに、全員が納得して安全運行に向き合うための第一歩になります。
物流の現場で20年以上、運行管理・出荷管理に携わってきた行政書士が担当します。巡回指導に向けた、点呼記録や指導監督の記録などの点検からご相談いただけます。
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