アルコール検知器に潜む「管理の盲点」

書類の整備も大切ですが、現場で意外と見落とされがちなのが「備品の状態」です。先日、ある現場で非常に考えさせられる出来事がありました。

日常的に使用しているアルコール検知器の、保守期限や校正日を記したラベルが、長年の使用による摩耗で読み取れなくなっていたのです。そこで、同時期に購入して保管されていた「未使用の予備機」を確認したところ、そこには「4年前」の数字が記されていました。

現場の皆さんは「予備だし、電源も入る。お酒を吹けばちゃんと反応するから大丈夫だよ」と仰います。しかし、ここには経営を左右しかねない大きなリスクが隠れています。

「動くこと」と「有効であること」の違い

運送事業のルールでは、アルコール検知器を「常に有効な状態で保持すること」が義務付けられています。

この「有効」とは、単に電源が入ることではありません。メーカーが指定する期間ごとに正しくメンテナンス(校正)を受け、精度が担保されている状態を指します。検知器のセンサーは消耗品であり、たとえ未使用であっても経年劣化は進みます。4年も経過したセンサーでは、正しい測定ができる保証がなく、監査の際には「有効な保持」と認められない可能性が高いのです。

知らない間に積み重なる「車両停止」のリスク

トラックは大きな質量を扱う公共性の高い乗り物だからこそ、その安全管理には非常に高い水準が求められます。もし「期限切れの検知器」を使っていることが発覚した場合、以下のような厳しいペナルティに直結します。

  • 管理不備(校正漏れ等): 最初の違反でも、一定期間の車両停止処分
  • 実質的な放置: 「機能していない=備え付けていない」とみなされると、さらに長期間の車両停止や、事業そのものへの厳しい制裁に繋がることもあります。

一台のトラックが止まれば、売上の損失だけでなく、荷主からの信頼、そして会社そのものの存続に関わります。「反応するから大丈夫」という現場の思い込みを、プロの視点で正していく。それもまた、私の大切な仕事だと考えています。

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この記事を書いた人

運送業許認可の行政書士です。
ほかにも自動車関係・相続関係の相談なども大歓迎です。

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