- アルコール検知器を「常時有効に保持」するとは、どういうことか
- 本機が故障したとき、予備機が使えないと運行を開始できなくなる理由
- 検知器に関する違反の種類と、行政処分の基準
- 予備機・携行用を含めた、一元管理の方法
毎日の点呼に欠かせないアルコール検知器。日々の運行に直結する備品だからこそ、多くの営業所では、毎日使う「本機」の点検や、センサーの交換時期の管理に気を配っていることと思います。
しかし、毎日の配車や帳票の整理に追われる現場では、意外な盲点になりやすいものがあります。それが、「いざという時のために棚の奥にしまってある予備機」の管理です。
「常時有効に保持」とは、どういうことか
運送事業者は、貨物自動車運送事業輸送安全規則により、アルコール検知器を営業所ごとに備え、常時有効に保持することが求められています。点呼で酒気帯びの有無を確認するときは、運転者の顔色や呼気のにおいなどを目視等で確認するほか、このアルコール検知器を用いて確認します。
国土交通省の通達では、「常時有効に保持」とは、正常に作動し、故障がない状態で保持しておくことをいうとされています。そのため、製作者が定めた取扱説明書に基づいて適切に使用・管理・保守し、定期的に故障の有無を確認して、故障がないものを使用しなければなりません。
※運転者に携行させる検知器や、車両に設置した検知器を使わせる場合は、毎日の確認を運転者の出発前に行います。
センサーの交換時期や使用回数の上限、校正などは、機種ごとに取扱説明書で定められています。法令が求めているのは、その取扱説明書どおりに保守されている状態を保つことです。
予備機は、置いてあるだけでは意味がない
毎日使っている検知器が故障したとき、頼りになるのが予備機です。しかし、その予備機も保守されておらず、正常に作動することを確認できなければ、点呼での酒気帯び確認に使うことはできません。
つまり、予備機の管理は単なる備品の整理ではありません。本機が故障した日にも運行を止めないための、リスク管理です。
通達でも、「営業所ごとに備え」には、営業所に設置したものだけでなく、営業所に備え置いた携帯型の検知器なども含まれるとされています。いざというときに点呼で使う予定がある予備機であれば、事前に正常な作動状態を確認しておく必要があります。
違反の種類は、状況によって違う
アルコール検知器に関する違反は、「どのような状態だったか」によって、行政処分の基準上の扱いが分かれています。
| 状況 | 処分基準上の扱い(初違反) |
|---|---|
| アルコール検知器が営業所に1器もない | アルコール検知器の備え義務違反:60日車 |
| 正常に作動しない検知器で酒気帯び確認をした、または正常に作動しないことを理由に確認を怠った | 常時有効保持義務違反:20日車 |
| 点呼で検知器を使った酒気帯び確認をしなかった | 点呼の実施不適切として扱われる(実施の状況によって警告や10日車など。飲酒運転の防止に関わる場合は別の重い基準) |
| 使っていない予備機の交換時期が過ぎている | それだけで、直ちに上の処分になるわけではない |
※関東運輸局「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について(別表)」(令和7年3月11日一部改正)によります。再違反の場合は、備え義務違反が120日車、常時有効保持義務違反が40日車です。
「古い予備機が棚にあるだけで処分になる」というわけではありません。問題になるのは、本機が故障した日に、その予備機を使って確認をしてしまったとき、あるいは使える検知器がなくて確認ができなかったときです。そうなってから慌てないために、予備機も日頃から使える状態にしておくことが大切です。
予備機も含めて、一元管理する
こうしたうっかりミスを防ぐには、担当者の記憶に頼るのではなく、営業所にあるすべての検知器を一つの台帳で管理するのが確実です。
予備機は、ふだんの確認から外れやすいものです。週に1回の確認のときに、予備機の電源と反応もあわせて確かめるようにしておけば、本機が故障した日にも慌てずに済みます。なお、予備機を実際に点呼で使い始めたら、その日からは毎日の確認の対象になります。
自家用(白ナンバー)の車両を一定台数以上使う事業所では、道路交通法に基づき安全運転管理者を選任し、アルコール検知器を用いた酒気帯びの確認と、検知器の常時有効な保持が求められています。緑ナンバーの輸送安全規則とは別の制度ですが、両方の車両がある会社では、すべての検知器を同じ台帳で管理しておくと、実務上の漏れを防ぎやすくなります。
万が一、本機にトラブルがあった日にもトラックを止めずに済むよう、今一度、棚の奥の「予備機」を点検してみてはいかがでしょうか。
物流の現場で20年以上、運行管理・出荷管理に携わってきた行政書士が担当します。巡回指導に向けた、アルコール検知器の管理状況や点呼記録などの点検からご相談いただけます。
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