デジタコが「セーフ」なら安心、という見落としがちな盲点。夜間に到着する、あの定期便の正体

このコラムで分かること
  • デジタコでエラーが出ていなくても、安心できない理由
  • 車内で荷卸しを待つ時間が「休息期間」になるか「拘束時間」になるか
  • 2024年4月から適用されている、1日の拘束時間と休息期間の基準

「デジタコの画面がエラーになっていない。だから大丈夫」

運行管理の現場で、何度この言葉を聞いたかわかりません。しかしデジタコは、あくまで運行を記録する道具です。改善基準告示の拘束時間を守れているかどうかは、記録された休憩・休息・荷待ちなどの区分が、実際の働き方と合っているかどうかに左右されます。

特に見落とされやすいのが、夜間に到着して、翌朝の荷卸しを車内で待つ定期便です。

目次

まず押さえたい「拘束時間」と「休息期間」

改善基準告示では、ドライバーの時間を大きく次のように分けています。

拘束時間 = 労働時間 + 休憩時間(仮眠時間を含む)
▼
荷待ちなどの「手待ち時間」は、労働時間に含まれる

休息期間は、勤務と勤務の間にある、使用者の拘束を受けない期間です

つまり、車内で過ごしている時間が「休息期間」になるのか、「手待ち時間」として拘束時間に含まれるのかは、その時間に使用者の拘束を受けているかどうかで決まります。デジタコで「休息」のボタンを押したかどうかで決まるわけではありません。

厚生労働省のQ&Aでも、車中泊の時間が休息期間に当たるかどうかは個別の実態に応じて判断するとしたうえで、荷物の看守義務がないなど、ドライバーが業務から解放される場合には休息期間になるとしています。「車中泊だから拘束時間」とも、「休息ボタンを押したから休息期間」とも、決めつけることはできません。

夜間に到着する、あの定期便

ある定期便のドライバーが、朝6時に始業し、夕方18時に遠方の倉庫へ到着しました。翌朝6時から荷卸しを始める予定です。18時から翌朝6時までの12時間は、デジタコ上では「休息」と記録されています。

エラーも出ていない。現場の感覚では「しっかり休ませた」となります。しかし、その12時間に実際に業務から解放されていたかどうかで、扱いは大きく変わります。

18時に終業し、自由に休めた場合
拘束12時間
始業6:00〜終業18:00/休息12時間
拘束時間・休息期間の条件を満たす例
18時以降も手待ちが続いた場合
拘束24時間
翌6時の時点で、休息なし
1日の拘束時間の上限を超える

※考え方を説明するための例です。翌朝6時以降も荷卸し作業が続く場合、一勤務としての拘束はさらに長くなります。出発前の点呼や点検なども拘束時間に含まれます。実際の判断は、運行全体の記録をもとに行う必要があります。

同じ12時間でも、休息期間として認められなければ、1日の拘束時間の上限を大きく超えてしまいます。デジタコのエラーが出ていなくても、記録の区分が実態と違っていれば、違反になっている可能性があるということです。

車内で待つ時間、確認したい4つのポイント

車内で過ごす時間が、本当に業務から解放された時間になっているか。定期便の運行を見直すときは、たとえば次のような点を確認してください。

① 勤務は終わっているか
到着後、その日の勤務を終えたことが明確になっているか。「呼ばれたら入る」形で、待機が続いていないか
② 待機中の指示
順番待ちで車を動かす、電話に出るといった指示に応じる必要がないか
③ 荷物の看守義務
休んでいる間も、積荷を見張ったり守ったりするために対応する義務がないか
④ 自由に過ごせるか
駐車スペースが確保され、その時間をドライバーが自分の判断で自由に使える状態になっているか

指示があればすぐ動かなければならない、積荷から離れられない、といった状態で待っているのであれば、その時間は休息期間ではなく、手待ち時間と扱われる可能性が高くなります。

荷待ちは、記録の対象にもなります

2025年4月からは、荷待時間や荷役作業等について、業務記録義務の対象が全車両に拡大されました。荷主都合で30分以上の荷待ちが発生した場合など、所定の条件に該当するときには記録が必要です。

2024年4月から適用されている基準

トラック運転者の1日の拘束時間と休息期間は、次のとおりです。

原則宿泊を伴う長距離運送の場合
1日の拘束時間13時間以内。延長する場合も最大15時間(14時間を超えるのは週2回までが目安)16時間まで、週2回まで可
1日の休息期間継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない8時間まで、週2回まで可(その場合、運行終了後に継続12時間以上)

※長距離運送とは、一の運行(所属する事業場を出発してから帰着するまで)の走行距離が450km以上のものをいいます。1週間の運行がすべて長距離運送であり、住所地以外の場所で休息をとることなどが条件です。
※宿泊を伴う長距離運送で1日の拘束時間を15時間を超えて延長した場合は、途中の休息期間が9時間以上であっても、その運行の終了後に継続12時間以上の休息期間が必要です。
※このほか、分割休息・2人乗務・フェリー乗船などの特例もあります。

「長距離だから16時間まで大丈夫」と考えている場合は、その運行が条件を満たしているかどうかも確認が必要です。

「いつもこのやり方でやってきた」が一番危ない

デジタコのデータを信じて管理している現場ほど、記録の区分が実態と合っているかの確認が抜け落ちていることがあります。デジタル化は管理を楽にしてくれますが、何を記録し、何を管理しているのかを正しく理解していなければ、道具を使いこなしているとは言えません。

まずは貴社の定期便の運行実態を、拘束時間と休息期間の観点から見直してみてください。特に、到着してから荷卸しまでの時間に、ドライバーが何をしているのかを確かめることが出発点になります。

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この記事を書いた人

あさば行政書士事務所(神奈川県横須賀市)代表、行政書士の浅葉竜一です。
自動車部品の物流・倉庫会社で20年以上勤務し、運行管理者・出荷管理者として運送の現場に携わってきました。
その経験を活かし、一般貨物自動車運送事業の許可申請、増車・車庫などの変更手続き、巡回指導対策、黒ナンバー・貨物利用運送など、運送業の手続きを中心にサポートしています。
自動車登録・車庫証明、相続・遺言のご相談も承ります。

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